小さな貿易会社を経営してる人のブログ

経済、経営、金融をお題に緩く更新

半世紀先を考える

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 この数年、世界経済は目まぐるしく変化している。始まりは2019年、中国は武漢で初の感染者が報告されてから、わずか数カ月ほどの間に世界的な流行となったコロナウイルス。

 後にそれはパンデミックとされ世界経済は冷え込み、その対応策として各国は揃って金融緩和に踏み切った。 

 ここで言う金融緩和とは主に

→中央銀行が政策金利の引き下げを行う

→政策金利の引き下げにより金融機関は低金利で企業や個人に資金を貸し出す事が可能になる

→事業投資や個人消費等の経済活動が活発になるので景気回復を目指す

②量的

→中央銀行が金融機関から国債等の買上げを行う

→金融機関は買上げされた国債等の売却益を元に運用を考える

→企業や個人に低金利で資金を貸し出す事が可能になる

→事業投資や個人消費等の経済活動が活発になるので景気回復を目指す

 これら上記2点が基本となり要するに市場に出回るお金の供給量を増やして経済を活発化させ、景気回復を目指そうというものだ。

 因みにアメリカでは国債の買上げとMBS(住宅ローン担保証券)の買い上げを行っている。

 と理論的にはこのような感じで冷え込む景気を回復する為、世界各国が足並み揃えて金融緩和に踏み切った訳だが昨年末FRBが物価の上昇を理由にテーパリングの計画を発表して以来、方針は一転し各国が長短金利ともに金融引き締めを図った。

 因みに金融引き締めとは金融緩和とは逆に政策金利の引き上げ及び国債等を手放すと言う事で、金融機関は、以前より高い金利で資金調達しなければならず、企業や個人への貸出においても、金利を引き上げるようになる。

 そうすると、企業や個人は、資金を借りにくくなり、経済活動が抑制されて、景気の過熱が抑えられる訳だ。

 FRBの金融引き締め発表を受けてECB、BOEも金融引き締めに続く中、奇妙な事にBOJ(日銀)は金融緩和を継続した。

 何故日本は各国の金融引き締め政策に続かないのか?

 実はこれには色々と考えられる理由があって先ず第一に日本は円安を望んでいる可能性が考えられる。

 →孤独に金融緩和を続ける日本は各国との金利差から日本円は売られ円安に

→日本製品の輸出が盛んになる、日本へ観光目的で訪れる外国人が増える

 輸出に関して言えば海外で工場を構える企業は円安の恩恵をあまり受けられないだろうが日本全体で見た時にプラス要因になるとも考えられる。

 また観光産業は間違いなく潤う事が想定される。日本と言えば工業製品の輸出が強みと見られがちだが、実は影で観光産業が躍進している。これに加えて更に円安が進めばどうなるかは容易に想像出来る。

 第二にそもそも日本は金利を引き上げる事が出来ない可能性が考えられる。

 現在BOJは10年債を0.25%以下に抑え込むイールドカーブコントロールを行なっている。

 絶対条件として「国債が買われて値上がりすると金利は下がる。逆に国債が売られて値下がりすると金利は上がる。」

 つまりこの逆相関の関係性から金利を0.25%以下に抑え込む=BOJによる無条件、無制限の国債買上げとなる訳だ。

 日本政府が発行する普通国債残高は約1,000兆円でBOJが保有する日本国債は約500兆円とも言われており、日本政府が発行する国債の約半数をBOJが保有している事になる。

 金利を引き上げると言う事は国債価格が下がると言う事。国債価格が下がると大量の日本国債を抱えるBOJどうなる?

 BOJのこの異常とも言えるバランスシートに目を付けた海外のヘッジファンドは今現在日本国債ショートをしている。

 変動型金利で住宅ローンを組む国民、借金を抱える企業、市中銀行。

 今までの当たり前が当たり前でなくなる日は近いかも知れない。