前提としてポーカーは不完全情報ゲームであり、時として運により勝敗が左右される局面が多々あります。
故に期待値を追い求めて、またGTO的にも正しいプレイをしていこうと考えるよりは生涯に渡って安定して収支をプラスに持っていく考えの方が私はしっくりきます。
ん?それ(生涯に渡って収支をプラスに持っていく考え)って結局、期待値やGTO的プレイを追い求める事じゃなくて?となってしまうかもしれませんが、私的に全く別の話なのです。
例えば、オープンエンドストレートドロー&フラッシュドローにフロップの時点でなった場合、アウツはフラドロが9枚、ストドロが8枚有り、リバーまでにストレートかフラッシュの役が完成する確率は約68%です。
現状何の役も出来ていなくともここは勝負に出たいところではあります。
ただここで考えてもらいたいのが自分や相手のスタックはディープなのかショートなのか。また相手のプレイスタイルはパッシブなのかアグレッシブなのか、ルースかタイトか。フロップで相手はベットしてくるのかチェックなのか、またベットされた場合、いくらのベットなのか。トーナメントなのかキャッシュゲームなのか。フロップが開くまでの一連の流れはどうだったのか。と言う事です。
どのような状況でも恐らく期待値やGTO的にはフロップで降りる選択は無いと思いますが、私のプレイスタイルだとこのような状況でも場合によっては降りるという選択もし得るのです。
これは生涯に渡って収支をプラスに持っていく為にも必要な経費"降りる勇気"だと個人的に考えています。
そもそも私がポーカーをプレイするにあたって1番大事にしているのが、面倒くさい局面はやらないと言うことであり、前述約7割近くの確率でナッツが引けるであろう局面であっても、所詮7割であって3割の確率で引けないわけです。またナッツが引けるであろうとは言うものの、役が完成したとしてリバーではそれがナッツでない場合もあるわけです。
フロップで相手がセットを完成していた場合、ツーペアだった場合、ワンペアであったとしてもランナーランナーで奇跡が起きる場合もあります。
(リバーまでに相手はストレートやフラッシュの上の役、フルハウスやクワッズを完成させる可能すらある。)
よくあるパターンが"リバーで捲られたよー"いくら上手いプレイヤーであっても初心者相手に捲られて、たったワンゲームでスタックのほぼ全てを失う事もあります。
このような所謂、バッドビートなるものに付き合っていたら、生涯収支なんてずっとプラスにならんやろと個人的に思うのです。
大数の法則的にいえば期待値プラスの試行回数を積めば一時的に下振れることがあったとしても、やがて確率は収束しプラスへ回帰していくと言うものですが、この場合は例外です。
何故ならポーカーでは、負けた場合失う金額と勝った場合得られる金額が毎ゲーム一定ではないからです。
毎回負けた時に失う金額と勝った時に得られる金額の比率が1:1以上となれば問題ありませんが、実際にプレイしていると毎回そうなるとも限りません。
それに仮に全ての条件(勝率とRR比)が整っていたとしても、7割の確率で引ける局面に出くわしたらオールインなんてプレイスタイルとしてヘンテコ過ぎますし、フォールドエクイティーと言う概念も関係してきます。
なので、"よし期待値プラスや!いったれ"ではなく複合的に総合的に厳格に判断する必要があります。
これはAAが手元に来た場合なんかもそうで、テキサスホールデムでは最強のハンドですが、最強だからといって絶対降りないというのもどうかと思うのですね。
ヘッズアップで有れば、あらゆるハンドに対し約80%近くの勝率がありますが、マルチウェイとなれば話は一転、勝率は場合によって5割以下となる局面は往々にしてあります。
UTGがオープン、EPの自分が3bet、BTNコール、SBコール、BBコール。
その後、UTGが4betで自分のアクション。
考えてみてください。手札はAAだけど、非常に嫌な局面です。
私なら自分の3betに対し後ろからコールが入っているかつ、UTGから4betが返ってくる時点で、オールインしたとしてもヘッズアップにならないなとの判断でスタックが自分、相手共にディープであれば熟考の末フォールドです。
例え期待値がプラスであったとしても、先ずマクロ的視点でリスクリワードを考える必要があり、また長期的に安定して収支をプラスに持っていけるか否か、そして面倒な場面は極力避ける。この意識が重要なのではないかと考えます。